20190628-001

 私は小さころから幽霊が見える。幽霊はどこにでもいるから、霊感が強い時期はどこに行っても見える。これは私が修学旅行先のホテルで見た霊の話。

 私の部屋は4階にあった。修学旅行1日目の夕方、みんなが部屋でゆっくりしていたとき、同じ階の少し離れた部屋から突然、友達の悲鳴が聞こえた。何事かと思い廊下に出た。私はすぐに、それに気がついた。悲鳴を上げた友達の部屋の前に何かが立っていた。天井に頭が届くくらい高い身長で、こちらに顔を向けていた。

 様子を見に部屋から出てきたほかの友達には見えないらしく、みんな平気でそれの近くに近づいいていった。私も友達に手を引っ張られて、それに近づく。3メートルくらいの背の高さで、骨の形がくっきり見えるくらい、やせ細っていた。服を着ていたがボロボロに破れて露出度が高い。

 何より怖いのは顔がないこと。ないというかぐちゃぐちゃで原型をとどめていない。顔の部分だけが潰れて荒いミンチ肉みたいになっていて、ところどころ固まった黒い血が見える。もうそれ以上近づきたくなかったけど、友達が
「行こうよ!!」
と言って無理やり腕を引っ張ってくるから、目をつむって問題の部屋に入った。

 私が部屋の入ると、背の高い霊はわざわざ背中をまげて部屋の中を覗き込んだ。目がないので見ているかは分からないけど、顔をこちらに向けている。部屋に入ってくる様子はない。悲鳴をあげた友達は、
「ベッドの下から何本もの白い腕が伸びてきた」
と泣きながら騒いでいた。私には白い腕は見えない。白い腕なんかよりずっと恐ろしいそれを見た私は強い恐怖を覚え、お経を繰り返し唱えた。ほかの友達に気持ち悪がられ
「頭おかしい」
とか言われたけど、もう怖すぎてそんなことどうでもよかった。

 私は、白い手を見た友達が落ち着きを取り戻してからその部屋を後にした。背の高い幽霊はまだドアの前に立っているので、走って部屋を出た。白い手を見た友達は部屋を交換してもらい、修学旅行最終日まで何事もなく過ごした。最後の日まで背の高い幽霊はずっとあの部屋の前に立っていた。ホテルを出るとき生徒みんなで階段を降りていくのだが、背の高い幽霊は手すりの上に座っていた。白い手を見た友達をじっとみつめているかのように、顔をずっとその子の方に向けていた。

 ちなみにうちの生徒は毎年そのホテルに泊まるのだが、毎回私の泊まっていた4階で誰かが幽霊を見ると上級生たちが噂していた。噂は本当だったことは分かったけど、できればあんなもの見たくなかったな。