20200305-001
 妊娠中の友達の付き添いで婦人科を訪れたときの話。

 受付を済ませて順番を待つため、私と友達は長いベンチに腰を掛けた。すると2人組の女性がこちらへ近づいてきた。1人は小綺麗な格好をしていて、もう1人は格好は普通だが髪の毛がボサボサだった。2人は私たちと少し離れたベンチに座った。 

 ボサボサ頭の女性は突然立ち上がり、私の友達の隣の席に座った。座っただけならどうってことはないが、彼女はブツブツ何かをつぶやきながら私の友達を凝視した。この人は危ない人かも知れない。お腹の子供に被害を加えられたら大変だと思い、友達に席を替わってもらった。

 すると今度は私をびっくりした顔で見つめてから、その女はまた友達の隣に座り直した。今度は友達を一番端の席に座らせてから私も隣に座り、女が友達の隣に座れないようにした。女は私のことを凝視し続けたが私は無視した。

 しばらくすると、はじめに女と一緒に来ていた女性が名前を呼ばれ診察室に向かった。その女はやっと私のそばを離れ、私を見つめたまま女性の後を追いかけた。だが、女性は先に診察室に入りドアを閉じた。

「ああ、あの女ドアにぶつかるな」と思いながら見てると、女はふっとドアの向こうに透き抜けていった。ここで私はあの女が人間でないことに気付いたのだった。