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newsclip.be 2015年9月6日掲載

 外国人旅行者が数多く訪れるバンコク都心のラチャプラソン交差点で8月17日に起きた爆弾事件。タイ人や中国人など20人が死亡、日本人男性1人を含む128人が重軽傷を負い、現場を走行中の自動車、バイク数十台が破損、一部が炎上した。

 翌18日には都内チャオプラヤ川のサトン船着場の水路で爆弾が爆発。水中だったために死傷者は出なかったものの高い水柱が上がり、通りがかった人々が避難する事態に陥った。

 今回の犯行の手口、浮かび上がる犯人像、タイの治安維持状況と共に、その中で日本人が心がけるべき危機管理について、警視庁元刑事でタイ警察現役警察大佐の戸島国雄氏に話を伺った。


明らかに殺傷を目的とした外国人による犯行

――爆弾事件そのものについて

 私が捜査に当たった事件だけでも、1974年に発生した東アジア反日武装戦線「狼」による「三菱重工爆破事件」、同年の「鹿島建設爆破事件」、翌年の「間組爆破事件」など多くの爆弾事件があり、日本も無差別爆弾テロというものを経験している。現代の日本人はとかく、「タイだからこのような物騒な事件が起きる」と思いがちだが、事件が起きる可能性というのはどの国も変わらない。


――今回の事件の手口は?

 鑑識技術指導で1995年に初来タイして以来、タイでもさまざまな爆弾事件の現場検証と捜査に携わってきた。これまでの事件と比較して分かることは、今回の犯行は明らかに外国人によるもの、ということだ。タイ人(タイ民族)も爆発事件を起こすことは多いが、仏教の教えがどこかで作用するのであろう、殺傷ではなく威嚇(いかく)が目的であり、規模は決して大きくない。バンコク郊外で以前、数階建てのビルが崩れるほどの爆発事件があったが、火薬調合が失敗したためだった。

 それに対し、今回の事件は不特定多数を殺傷する目的で爆弾が作られている。爆薬にベアリングを仕込むなど、最大限の効果を狙っている。大量殺人を目的に爆弾が作られた前例は、少なくとも私がタイ警察と関わりを持つようになってからは皆無だ。


――タイ深南部のテロ組織の手口とも異なるのか?

 同地ではよく、国際テロ組織による作り方や仕掛け方が用いられる。爆弾の容器にはたいてい消火器が利用される。また、国際テロ組織は狭い範囲で2発目3発目を仕掛ける。事件発生を受けて治安当局が集まってくるのを見計らい、追い打ちで爆破させるのが常套手段だ。

 今回ラチャプラソン交差点で起きた爆発は、未発の爆弾が見つかったり、翌日にサトン船着場で別の爆発が続いたりした。しかしそれは、起爆方法を見てもタイ深南部のテロ組織が用いる手口ではない。

戸島国雄タイ警察大佐に聞く バンコク連続爆弾事件 (1)浮かび上がる犯人像