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newsclip.be 2015年9月6日掲載

――国軍や警察の動きについて

 事件発生直後の初期活動(初動捜査)とそれに続く捜査は、国軍、警察とも非常に評価が高い。日本では普通に張られる規制線(立ち入り禁止テープ)は、タイの事件現場ではこれまで使われてこなかった。私が90年代に指導の一環として持ち込んだものだが、今回の事件では迅速に張られた。爆発によって地面の舗装が剥がれた大きさと深さ、いわゆるロート痕によって爆弾の威力を見極め、破片一つ一つを回収して証拠品として公開した手際の良さは、日本の鑑識捜査の要領が浸透したと判断できる。

 都内各所に数多く設置されている防犯カメラも、容疑者割り出しに貢献した。日本から私のもとに、「防犯カメラの普及に感心している。日本でもこれほど設置されているかどうか」とメールが送られてきたほどだ。さらに、防犯カメラの映像や目撃者の証言から作られた容疑者のモンタージュ。これも技術指導の一環として日本からタイに持ち込んだものだが、今回は特に迅速に作られ、バンコク都民からの情報提供につながった。


――このような犯罪はやはり複数の人間が必要なのか?

 火薬は買うものではなく作るもの。難しい公式は不要で、農薬、肥料、白砂糖などを用いて簡単に作れる。しかし材料は仕入れなければならない。共犯者、協力者、支援者はおのずと必要になってくる。複数でないと今回のような事件は起こせない。その組織もしくはグループにタイ人が絡んでいる可能性はある。

 爆弾は金属製の硬い容器に、中身をぎっしり詰めれば詰めるほど威力が増す。軍隊の手榴弾が良い例だ。日本では昔、圧力鍋がよく使われた。白砂糖はライターであぶっただけでもすぐに燃える。火薬を調合する際に燃え方が悪かったら白砂糖を足せばいい。これがプラスチックなどの柔らかい容器だと、ボアっと燃えるもののその範囲はせいぜい数メートルで、さほど威力はない。

 いずれにせよ、複数の人間の関与が必要となり、タイ国内に受け入れ体制があったからこその犯行だろう。


――メディアで報道されているようなウイグル族の問題に絡んでいるのか?

 中国新疆ウイグル自治区からの避難民をタイで受け入れ、偽造のトルコ・パスポートで同国に送り込む組織、という可能性が高いようだ。逮捕された容疑者は、偽装したパスポートの出来が悪く、自分自身が出国できずにいたとも聞く。その辺りのツメの甘さや、先に述べたような爆弾を仕掛けるその手口を見ても、テロ専門ではないように思われる。

 警察が押収した100冊ともいわれる偽造パスポートの数を見ると、タイ国内の組織もしくはグループの規模は決して小さくないだろう。今回の事件の容疑者が逮捕されても一件落着とはいかないかも知れない。