202171215

♀48歳 ピサヌローク出身バンコク在中 

 25年も前、私が้久しぶりに実家に帰ったときの話。実家といっても両親は私が家を出てから引っ越したので、なじみのある場所ではない。バンコクから実家の町まで夜行列車で行き、朝暗いうちに駅に着いて外に出る。

 列車から下りてくる乗客を待って、サムロー(輪タク)のおじさんたちがわっと集まってくる。ほかの乗客数人はそれぞれ行き先を告げ、サムローに乗って行く。

 「ワット・タマチャックの裏手」。私は実家の場所を説明するのに、近所にある寺院の名前を告げた。その途端、サムローのおじさんたちはすーっと散らばっていく。残ったのは年配の1人。「あそこは幽霊が出るからな」とブツブツ言っている。

 そのおじさんは何とか行ってくれることになった。寺院の境内に立つ、巨大なガジュマルの樹をみんな怖がっているという。その樹に何かしらの霊が取り憑き、その下を通ると幽霊を見るといううわさが広まっているらしいのだ。そこを通らないと自宅に着けないらしく、嫌でも行かなければならない。

 駅からの道を進み、境内に入る。例のガジュマルの樹の下を通って裏手に抜ける道をたどる。樹に近づいたとき、風も吹いていないのに「ザワザワっ」と樹が大きく揺れた。まるで誰かが樹の枝の上にいて、わざと揺らしてるようだった。サムローのおじさんは「だから嫌だと言ったんだ」と文句をいいながら、急いでその下を通り抜けた。